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第1回 イノベーションと知の探求シリーズ を開催しました!!
こんにちは!フラッグシップ株式会社 バックエンド・エンジニアのKeitaです。
私は現在、バックエンド・エンジニアであると同時に、AI委員会の委員長を務めています。AI委員会は、CEO直属の組織で、週1回集まって最新のAI情報のキャッチアップや、理論や歴史の勉強、社内への啓蒙活動などを行っています。こうした活動を通じて、社内のメンバーが最新の技術やその応用について理解を深めることを目指しています。
そんなAI委員会で3月13日(水) に、「イノベーションと知の探求シリーズ」と題した勉強会を開催しました!情報産業への見え方が変わった有意義な会でしたので、その様子をレポートしたいと思います!
第1回目の様子
この「イノベーションと知の探求シリーズ」は、全3回に分かれています。
内容は
1. Appleはなぜ革命的なプロダクトを生み出せたのか -イノベーションはリベラルアーツから始まる-
2. 情報技術の哲学史
3. 人工知能「超」入門
となっています。
この内容は12年ほど前、弊社CEOの神馬が会社を立ち上げた際に、NPO法人Talkingの日渡 健介さんと開催したITの勉強会が元になっています。
日渡さんは、リベラルアーツの読書会や研修を長年行っている方で、弊社のコンサルタントも務めています。私は2023年の4月に日渡さんの「概念思考」のワークショップを受けたのが初めての出会いでした。
今回、このタイミングでの勉強会の再開が、今後の社内活動に良い影響を与えることを確信し、日渡さんに開催をお願いをしたところ、快く引き受けて下さいました。
日渡さん、ご多忙の中、本当にありがとうございました!
第1回目の様子
今回は第1回目の様子をお伝えしていきたいと思います!
はじめに質問ですが、みなさんはAppleについてどんなイメージを持っていますか?
社内の参加者に、Appleのイメージを説明してもらったところこんな意見が出ました。
・iPhoneを発明した会社。
・イノベーションを起こした会社
・ハイエンドな商品を売っているブランド力のある会社。
私も似たようなイメージを持っていました。仕事でMacを使っており、iPhoneも大好きなので、Appleの事はよく知っているつもりでいました。しかし、今回のセッションでそのイメージが大きく覆される事になったのです。
Appleのイノベーションの源泉
会は日渡さんのプレゼンで始まりました。
探求の鍵となったのが、アラン・ケイとスティーブ・ジョブズという二人の人物です。
( 画像左 ) アラン・ケイ Marcin Wichary from San Francisco, U.S.A.
- Alan Kay, CC 表示 2.0,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=46964163による
(画像右) スティーブ・ジョブズ Matthew Yohe, CC 表示-継承 3.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=82773576による
アラン・ケイは、パーソナルコンピュータの概念を考案し、現代のコンピュータ時代の礎を築いた先駆者です。彼のビジョンは、「ダイナブック」と呼ばれる持ち運び可能なマルチメディア・デバイスを通じて、教育や創造的な活動を支援するものでした。
アラン・ケイがこの革新的なアイディアを思い付いたのは1968年と言われており、当時のダイナブックのスケッチを見ると、まさに現在のiPadの原型となるようなデバイスが描かれています。
1960年代のコンピュータは部屋を占有するほど巨大なものでした。その時代に既にアラン・ケイが「コンピュータはメディアであり、将来は人々の手のひらに収まるサイズになり、生活を変えるものになる」という構想をしていた事に大変驚きました。
スティーブ・ジョブズはアラン・ケイのアイデアに強い影響を受け、そのビジョンを実現するためにAppleを通じて数々の革新的なプロダクトを生み出しました。当時、アラン・ケイはゼロックス社のPARC研究所でダイナブックのプロトタイプの開発に取り組みます。その結果、うまれたのが暫定版ダイナブック「Alto」です。
Xerox Alto By Joho345 - Own work, Public Domain,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3699855
Altoはゼロックス社内では評価されず倉庫に眠っていましたが、それを偶然にもみつけ、未来のコンピュータの可能性を見出したのがスティーブ・ジョブズだったのです。ジョブズはAltoを商業的なプロダクトとして開発し、Macintoshが生まれます。ここからAppleのイノベーションの歴史が始まったのです。
A Macintosh 128K, keyboard, and mouse By Sailko
- Own work, CC BY 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=55033088
日渡さんの解説の後に、参加者一人一人が感想をシェアしました。0から1を作りだしたアラン・ケイと、1から10を成し遂げたジョブズという構図が分かった、といった感想が出てきました。
私も今回のプレゼンを聞くまでは、スティーブ・ジョブズがiPhoneやiPad、Macなどの製品を独自の発想とカリスマ性で一から創り出したと思っていました。しかし、実際にはジョブズはアラン・ケイの構想を圧倒的な情熱で現実化にした人物と言う方が正しかったのです。
アラン・ケイとリベラルアーツ
後半は、技術的な卓越性だけでなく、リベラルアーツに基づく深い洞察がイノベーションの源泉であることも学びました。
特にアラン・ケイは、リベラルアーツ的視点から、多くの知見を得ていたようです。ケイが推薦する本、例えばマーシャル・マクルーハンの『グーテンベルクの銀河系』や『メディア論』などは、彼の思考に決定的な影響を与えています。
『グーテンベルクの銀河系』初版の表紙 By Scan of book cover,
Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=55080183
ネットで調べるとアラン・ケイがおすすめする本の記事が出てきますが、そこに挙げられている本は、メディア論の他にも、教育学、心理学、芸術論、科学論、哲学などジャンルは多岐に渡っています。
技術だけではない、様々な分野の知識が、ケイの革新的なアイデアの基盤となっているようです。リベラルアーツの視点を持つことで、単なる技術的な能力を超えた創造性的な洞察が生まれ得る事が分かりました。
私も彼がおすすめする本は是非読んでみたいです。
第1回目のセッションの感想
第1回目のセッションを通じて、参加者全員のAppleへの見方が大きく変わったと思います。私もAppleの事をよく知っているつもりでいましたが、Appleのイノベーションを理解する上では、アラン・ケイとジョブズの関係を押さえておく事が重要だと分かりました。
ジョブズだけでなくアラン・ケイにももっと注目が集まるべきだと思い、ジョブズばかりに注目が集まっている現状に疑問をもつようにもなりました。
また真に革新的なアイデアは、技術だけでなく人間の活動全体の深い洞察から生まれてくるという感覚も得る事ができました。
大変濃密な2時間で、この会を開催して本当に良かったです!
次回は第2回目の「情報技術の哲学史」の様子をレポートしますので、お楽しみに〜!