Shopifyの意外な一面!eスポーツチーム「Shopify Rebellion」を知っていますか?
こんにちは、バックエンドエンジニアのKeitaです。
突然ですが、みなさんは「Shopify Rebellion(ショッピファイ・レベリオン)」を知っていますか?
「新しいShopifyのサービス?」と思った方も多いかもしれません。実はこれ、Shopifyが運営している本格的なeスポーツチームなんです。そう、あのECプラットフォームのShopifyがプロゲーミングチームを持っているんですよ!
今回は、普段なかなか知る機会のないShopifyのこんな側面をご紹介しつつ、急成長を続けるeスポーツ業界について、そしてeスポーツの魅力についてお話ししたいと思います。
Shopify Rebellionとは?
Shopify Rebellionは、2021年2月にカナダのeコマース企業Shopifyによって設立されたプロeスポーツチームです※1。設立当初はStarCraft IIの部門からスタートし、その後Rocket League、Valorant、Halo Infinite、League of Legendsなど、様々なゲームタイトルに活動を拡大してきました。
チーム名の「Rebellion(反乱)」には、独立した起業家たち、つまり「rebels(反逆者たち)」を支援するというShopifyの企業理念が込められています※2。既存の大手企業に立ち向かい、自分の力で道を切り拓こうとするEC事業者たちを応援するという想いが、このチーム名に表れているんですね。
現在、Shopify RebellionはApex Legends、Dota 2、Guilty Gear Strive、Halo Infinite、League of Legends、Rainbow Six Siege、Rocket League、Super Smash Bros.、StarCraft II、Street Fighter、Valorantなど、実に多くのゲームタイトルで活動しています※1。
Apex Legends部門の設立、そして個人的な嬉しいニュース
そして、2025年1月、Shopify Rebellionに大きな動きがありました。人気ストリーマーのLudwig(ルドウィグ)とCharlie White Jr.(通称MoistCr1TiKaL、モイストクリティカル)が共同オーナーとして加わり、彼らが運営していたMoist Esportsと合併したのです※1。
この合併により、Moist Esportsが持っていたApex Legends、Super Smash Bros.、Street Fighter 6などの部門がShopify Rebellionに移籍。そう、Shopify RebellionにApex Legends部門が誕生したんです!
正直に言うと、このニュースを知ったとき、私はかなり興奮しました。
実は私、2019年のリリース当初からApex Legendsをずっとプレイしてきたんです※3。友達とボイスチャットをしながら深夜までランクマッチを回したり、チャンピオンを取ったときに叫んだり、逆にあと一歩のところで負けて悔しがったり…。たくさんの思い出があるゲームです。
そんな私が今、Shopifyに関わる仕事をしている。そして、そのShopifyがApex Legendsのプロチームを持つことになった。まさか自分が携わっている会社とこんな形でつながりがあるなんて、本当に不思議な縁を感じますし、とても嬉しく思っています。
Shopify RebellionのApex部門は、ALGS(Apex Legends Global Series)などの公式大会にも参加しており、2025年のALGS Championship では4位という好成績を収めています※4。今後の活躍がますます楽しみです。
なぜeコマース企業がeスポーツに投資するのか?
ここで、ひとつ疑問に思う方もいるかもしれません。「なぜECプラットフォームの会社がeスポーツチームを運営しているの?」と。
実は、eスポーツへの企業投資には様々なメリットがあるんです。
若年層へのアプローチ
eスポーツのファン層は10代から20代が中心です。特にApex Legends、VALORANT、オーバーウォッチなどのタイトルでは、10代・20代を合わせた構成比が80%を超えるというデータもあります※5。
従来のマーケティング手法ではなかなかリーチしにくいデジタルネイティブ世代に対して、eスポーツへの投資は非常に効果的なブランディング手段となります。チームのスポンサーとして名前を露出することで、若い世代に自然な形で企業名を認知してもらえるのです。
グローバルな認知度向上
eスポーツの大会はオンラインでライブ配信され、世界中のファンが視聴します。注目度の高い大会では同時視聴者数が数十万人に達することも珍しくありません。
Shopifyは北米を中心にグローバル展開しているeコマースプラットフォームです。eスポーツを通じて世界中のゲーマーコミュニティにリーチすることは、ブランド認知度の向上に大きく貢献します。
デジタル・エンターテイメント領域への進出
テクノロジー企業としてのShopifyにとって、eスポーツという最先端のデジタルエンターテインメント領域への参入は、革新的な企業イメージの強化にもつながります。「ECプラットフォームの会社」という枠を超えた、テクノロジーとカルチャーの交差点に立つ企業としてのポジショニングを確立できるのです。
コミュニティとの深い関係構築
eスポーツチームを通じて、ゲーマーコミュニティと継続的な関係を築くことができます。単発の広告とは異なり、チームの活躍を通じてファンとの絆が生まれ、長期的なブランドロイヤリティにつながります。
急成長するeスポーツ市場
企業がeスポーツに注目する背景には、市場の急成長があります。
世界のeスポーツ市場は、2024年時点で約20.8億ドル規模にあり、2025年から2033年にかけて年平均成長率(CAGR)は約17.05%で成長し、2033年には約100.6億ドル規模に達するという予測もあり、今後も継続的な成長が見込まれています※6。
日本市場に目を向けると、2023年の国内eスポーツ市場規模は前年比117%増の約147億円。2025年には200億円に迫る見通しです。また、日本のeスポーツファン数は2023年時点で約856万人、2025年には1,000万人を超えると予測されています※7。
この成長を支えているのが、スポンサーシップ収入です。日本のeスポーツ市場収益の約42%はスポンサーシップが占めており、自動車メーカー、食品メーカー、通信会社など、ゲーム業界以外の企業からの投資が年々増加しています※7。
さらに、2025年には日本eスポーツ連合(JeSU)が日本スポーツ協会への加盟を承認され、大阪・関西万博ではeスポーツイベント「未来をつなぐeスポーツの力」が開催されました※8。
2026年の愛知・名古屋アジア競技大会ではeスポーツが正式競技として採用され、過去最多となる11種目13タイトルでの実施が決定するなど、eスポーツの社会的認知と正当性は着実に高まっています※9。
日本でも広がるeスポーツ教育
eスポーツの盛り上がりを受けて、日本でも教育分野での取り組みが活発化しています。
NTTe-Sportsと中央高等学院が産学協同で設立した「eスポーツ高等学院」は、日本初のeスポーツ専門スクールとして注目を集めています※10。高校卒業資格を取得しながら、プロゲーマーやストリーマー、ゲーム業界のクリエイターを目指すことができます。
また、KONAMIが運営する「KONAMI eスポーツ学院」では、銀座にある本社で最新設備を使った実践的なトレーニングを受けることができます※11。プロチーム所属の講師から直接指導を受けられるなど、充実したカリキュラムが特徴です。
通信制高校でも、ルネサンス高等学校が日本で初めて「eスポーツコース」を開設し、クラーク記念国際高等学校のeスポーツ専攻は全国高校eスポーツ選手権で優勝するなど、実績を上げています※12。
全国のeスポーツを学べる大学・短期大学・専門学校は40校を超え※13、プロゲーマーだけでなく、イベント運営、実況・解説、マネジメントなど、eスポーツに関わる様々なキャリアパスが整備されつつあります。
「ゲームばかりしていないで勉強しなさい」と言われた時代から、「ゲームを学ぶ」時代へ。eスポーツは確実に社会的な認知を獲得しつつあります。
eスポーツ観戦の面白さ
自分でプレイするだけでなく、eスポーツは「観る」ことも非常に面白いです。
プロ選手の神業的なエイム(敵に銃の照準を合わせる技術)、チームワーク、瞬時の判断力は、見ているだけで感動します。「こんなプレイができるのか!」という驚きと、「自分もいつかこんなプレイがしたい」という憧れが生まれます。
また、実況や解説があることで、ゲームを深く知らない人でも楽しめるようになっています。サッカーや野球の中継と同じように、プロの解説を聞きながら試合を見ることで、戦術の奥深さや選手の凄さがより伝わってきます。
配信プラットフォームのコメント欄では、世界中のファンがリアルタイムで盛り上がっています。好きなチームや選手を応援する一体感は、まさにスポーツ観戦そのものです。
まとめ:Shopifyの新たな一面と、eスポーツの未来
今回は、Shopifyが運営するeスポーツチーム「Shopify Rebellion」についてご紹介しました。
ECプラットフォームの会社がプロゲーミングチームを持つというのは、一見すると意外に感じるかもしれません。しかし、若年層へのアプローチ、グローバルなブランド認知、コミュニティとの関係構築といった観点から見ると、非常に理にかなった投資と言えます。
そして何より、私自身がリリース当初から愛してきたApex Legendsと、今携わっているShopifyがつながったことは、本当に嬉しい出来事でした。
eスポーツ市場は今後も成長を続け、2033年には世界で120億ドル規模に達すると予測されています※6。日本でもeスポーツの高校や専門学校が増え、プロゲーマーやeスポーツ関連の職業がますます身近なものになっていくでしょう。
もし、この記事をきっかけにeスポーツに興味を持っていただけたら嬉しいです。そして、Shopify Rebellionの試合をぜひ一度見てみてください。特にApex Legends部門の活躍、私も一ファンとして応援しています!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
参考
※1 Wikipedia「Shopify Rebellion」 https://en.wikipedia.org/wiki/Shopify_Rebellion
※2 Shopify Rebellion公式ブログ「Shopify Rebellion Welcomes New Co-Owners Cr1TiKaL and Ludwig」 https://shopifyrebellion.gg/pages/shopify-rebellion-welcomes-new-co-owners-cr1tikal-and-ludwig
※3 Wikipedia「エーペックスレジェンズ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/エーペックスレジェンズ
※4 Liquipedia「Shopify Rebellion - Apex Legends」 https://liquipedia.net/apexlegends/Shopify_Rebellion
※5 「推しエンタメブランドスコープ」2025年1月調査結果https://www.gem-standard.com/columns/1004
※6 IMARC Group「Esports Market: Global Industry Trends, Share, Size, Growth, Opportunity and Forecast 2025-2033」 https://www.imarcgroup.com/esports-market
※7 一般社団法人日本eスポーツ連合/角川アスキー総合研究所「日本eスポーツ白書2024」 https://jesu.or.jp/contents/news/news-250331/
※8 一般社団法人日本eスポーツ連合「EXPO2025 大阪・関西万博におけるeスポーツイベント実施のお知らせ」 https://jesu.or.jp/contents/news/news-250422/
※9 一般社団法人日本eスポーツ連合「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)eスポーツ競技のタイトルが正式決定」 https://jesu.or.jp/
※10 eスポーツ高等学院 公式サイト https://esports-hs.com/
※11 KONAMI eスポーツ学院 公式サイト https://www.konami.com/ginza/school/
※12 BCN eスポーツ部「全国のeスポーツを学べる・部活動ができる高校を紹介!」 https://esports.bcnretail.com/column-interview/commentary/210610_000237.html
※13 進路ナビ「全国のeスポーツが学べる大学・短期大学・専門学校一覧」 https://shinronavi.com/search/result?fld%5B%5D=A-322