パートナーシップマネージャーとは?役割・仕事内容・求められるスキルまで解説
近年、企業成長の鍵を握る存在として注目を集めているのがパートナーシップマネージャー(Partnership Manager)という職種です。伝統的な営業職やカスタマーサクセスとは異なり、企業同士の長期的な協業関係を築き、価値を共創していく枠組みの推進役とも言える存在です。この記事では、パートナーシップマネージャーの役割、具体的な業務内容、KPI、求められるスキルセットなどを詳しくご紹介します。
パートナーシップマネージャーとは?
パートナーシップマネージャーは、他社との戦略的な連携を推進する役割を担います。双方にとって「Win-Win」となる関係性の構築を前提に、パートナー候補の選定から関係構築、契約交渉、実行管理、成果の分析までを一貫して管理します。このポジションが浸透している領域としては、SaaS製品、プラットフォーム、FinTech、物流、教育など多様な業界で活躍しており、企業の成長戦略・営業戦略や、事業開発(BizDev)と密接に関係するポジションです。国内では、アライアンス担当と言われる職種が近い側面もあります。
パートナーシップマネージャーの仕事内容
-
パートナーシップ戦略の策定
-
潜在的パートナーのリサーチと発掘
-
提携条件の交渉・契約締結(法務・営業との連携)
-
パートナーとの定期的なコミュニケーション・関係強化
-
パートナー施策のKPI設定とモニタリング
-
共催イベント、共同プロモーションの企画・運用
-
社内チーム(営業、マーケ、プロダクト)との連携・調整
パートナーとの関係を「作って終わり」にせず、成果が出続ける仕組みをつくるのが重要なミッションです。
フラッグシップにおけるパートナーシップマネジメント
フラッグシップ株式会社は、Shopifyのテクノロジーやエコシステムの優位性、柔軟性と拡張性にいち早く着目し、ECサイトの構築やリニューアル、他プラットフォームからの移行支援を行ってきました。既存のShopifyアプリに加え、自社開発のカスタム機能やMiraklとの連携なども取り入れ、多様なニーズに応える幅広いソリューションを提供しています。
この価値をさらに高めるためには、国内外の優れたサービスとの協業が欠かせません。パートナーシップマネージャーは常に市場動向や新しいサービスに目を光らせ、新規パートナーの開拓や既存ネットワークの強化を行います。お客様から「この機能を導入したい」という声があった際には、多様なパートナーとの折衝で得た知見をもとに候補を提示し、PMが進める選定や導入を横串で支援します。また、情報を社内で共有し判断をスムーズにする体制づくりも担っています。さらに、イベント共催や共同営業、相互送客といったWin-Winの取り組みを企画・推進し、単なる機能導入にとどまらない包括的な価値創出を実現しています。
パートナーセールス施策例:レベニューシェアによる協業モデル
多くのSaaS企業やプラットフォーム企業では、「レベニューシェア(Revenue Share)」と呼ばれる仕組みを通じて、パートナーと収益を分配するモデルを構築しています。これは、パートナーが獲得した売上の一部をインセンティブとして分配する制度で、協業の促進やパートナーのエンゲージメント向上に大きく貢献しています。
レベニューシェアを提供する会社側からすると、セールスチームをミニマムに留め、営業をある意味で外部化/広範囲化できるという考えに基づいています。
たとえば、以下のような公開情報に基づくレベニューシェア事例があります。
Shopify(ショッピファイ)
Shopifyは、パートナー重視のエコシステム型のビジネスモデルで有名な企業です。パートナーは、Shopifyストア構築・開発ストアの移管・Shopify Plus紹介・アプリやテーマの販売などを通じて、継続的な報酬を得ることが可能です。
POSやMarkets Pro、テーマ販売などでもインセンティブ制度が整っており、活動内容に応じて多角的な収益源を構築可能です。
単発の紹介料ではなく、パートナーの継続的な貢献をフェアに評価する仕組みが整っており、構築だけでなく販売・運用支援までもビジネスとして展開できます。
このような制度により、パートナーは“顧客のEC成功”を支援しながら、自社の成長にも直結する持続可能性の高いビジネスモデルを実現できます。
引用元:https://help.shopify.com/ja/partners/partner-program/how-to-earn
※上記は2025年8月時点の情報です。
パートナーシップマネージャーは、こうした制度の企画・導入・運用までをもリードすることもあり、まさにビジネスとパートナー双方の成功を設計する有機的な役割を担っています。
パートナーシップマネージャーのKPIとは?
役割の広さゆえにKPIも多様ですが、一般的には以下が代表的です:
-
パートナー経由の売上(Partner-Sourced Revenue)
-
導入件数/取引件数の増加
-
アクティブパートナー数
-
パートナーとの共同施策の実行率・成功率
-
継続率・解約率
-
CSAT(パートナー満足度)
パートナーの種類(販売代理店/システム連携/ブランド協業など)によってKPIの設計は変わります。
求められるスキル・資質
-
高いコミュニケーション能力・共感力 → 相手企業の立場や課題を深く理解し、信頼関係を築く
-
交渉力・契約調整力 → 条件交渉や合意形成をリードする
-
戦略的思考・事業理解力 → 自社・相手・市場の三方を俯瞰し、長期的視野で協業を設計する
-
社内調整力(横断的連携) → 営業・マーケ・カスタマーサクセス・プロダクトなど複数部署を巻き込む
-
プロジェクトマネジメント力 → 合意した施策を「形にする」力も問われます
-
高いアンテナ → 流行り物になる前から、相性の良い可能性のあるパートナーを見抜き、コミュニケーションを推進する
パートナーシップマネージャーの本質
この仕事の本質は「両社/関係各社の可能性を推しあげる掛け算の実現」です。単なる人脈づくりではなく、「どんな相手と、どのような形で、なぜ協業すべきか」を常に考え、事業戦略に沿った形でパートナーシップを“設計”し、“実行”する力が求められます。営業的な視点、マーケティング的な視点、経営的な視点がバランス良く必要となる、まさにビジネス開発(BizDev)そのもののような仕事です。延長線上的な成長を乗り越え、非連続的な変化の可能性を芽生えさせ、推しあげられる。どうです、面白そうじゃないですか?